「必須医薬品」とは?
今日は「必須医薬品」に関して書いてみたいと思います。
皆さんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか。
WHOの定義によると「必須医薬品とは、大多数の住民が健康を保つために必要不可欠なものであり、決して不足することなく、必要とする人々にとって、適切な投与形態で、誰もがアクセスできる値段で提供されるべきものである。」とあります。
簡単に要約すると、必須医薬品とは、多くの人にとって必要不可欠な薬品の薬品のことです。それゆえ、誰もが買えるような値段で提供されるべき薬剤でもあるということです。
これをWHOがリストにしたものが、 “WHO model essential medicines list: WHO model EML”と言います。
引用:WHO
どのような薬品のことか以下に例をいくつか挙げます。
鎮痛薬
抗アレルギー薬
抗痙攣薬
抗生剤
駆虫薬
住血吸虫駆除薬
フィラリア駆除薬
抗菌薬
抗ウイルス薬
循環作動薬
また、殺菌消毒薬なども含まれます。
世界では、約3分の2の人々がこの必須医薬品を手に入れることができます。
それは裏を返せば、3分の1の人々はこれらの薬品にアクセスできない現状があるということです。
どのような国の人々かというと、やはり貧困に悩む国の人々です。
そして、この中で最も重要なものは、やはり抗生剤の類です。
2010年には、4000万人以上の人々が途上国で亡くなり、そのうち三分の一が5歳以下の小児。1000万人の死は、急性呼吸器感染症や下痢、結核、マラリヤに起因するものだそうです。
つまり、これらの必須医薬品が、真に全ての人々に行き届いていたならば、その人々の多くを救えたのかもしれないのです。
しかし、これはそれほど簡単なものではありません。
必須医薬品を全ての人々に行き渡らせるためには、まず薬が存在し、それを買えるだけの経済的な安定性、そして薬を適切に使用するための知識など、課題がいくつもあります。
「必要最低限の薬を全ての人に行き渡らせる」という課題においても、経済、医療・公衆衛生、教育など、幾多にもわたる分野の改善が求められるのです。